蔦の細道公園から見る美しい石積み、兜堰堤の復活
藤枝市岡部町木和田地先
豪雨によって崩壊した有形文化財「兜堰堤」を復元しました。
- 事業名
- 木和田川砂防等調査(砂防)工事に伴う設計業務
- 実施期間
- 2003年08月〜2003年12月
- 担当部署
- 設計部
有形文化財として登録された砂防堰堤。
木和田川の堰堤は、瀬戸川水系の渓流である木和田川にある石積み砂防堰堤です。
これらの堰堤は、明治43年の豪雨による山崩れにより下流の地区に大災害をもたらしたことから、明治から大正にかけて8基の堰堤と2基の流路工を建設した歴史的建造物で、その石積みの形状が美しく「兜堰堤」と呼ばれています。
木和田川の砂防施設は、木和田砂防環境整備事業と蔦の細道公園整備事業が一体で整備され、砂防学習ゾーンとして歴史的価値の見学や訪れる人々に憩いと、自然への親しみ、安らぎを与えてくれている施設です。
平成14年には、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として有形文化財として登録されました。
豪雨により、堰堤の水通し部とその周辺施設が崩壊。
しかし、平成15年7月の3日から4日にかけての豪雨により、木和田砂防二号堰堤の水通し部とその周辺施設が崩壊しました。 作業は、崩壊した堰堤を文化財として認められる構造にすることが要求されました。
有形文化財の被災からの復元でしたので、検討委員会を立ち上げ、地元の方、文化財建造物保存技術協会及び学識者の指導を受けて、外観は、崩壊前の巨石と周辺の石をもちいて古写真を基に再現しました。残存する袖部は、再構築の目安に各石に番号を付け墨によるメッシュを引き位置の確認が出来るようにしました。
過去の写真を基に石積みを再現していく。
構造は、外観に用いる巨石にアンカーを接続し、コンクリートの躯体に結束させて石の安定を図りました。
巨石の積み方は、ゴツゴツした面が強調されるように丁張を石面でなく石どうしのかみ合わせに合わせてました。
被災前は堰堤天端部に歩道橋が架設されていましたが、歩道橋は堰堤上流に移動してもらいました。
歴史的景観に寄与する有形文化財が復活し、「兜堰堤」とともに蔦の細道の景観を守ることができました。