調査と対処法を見つけて感染初期の松枯れに挑む
磐田市福田海岸
感染初期木を効率良く発見するために赤外線ドローンを活用する。
- 事業名
- 赤外線ドローンによる松枯れ調査
- 実施期間
- 2020年07月〜2022年03月
- 担当部署
- 企画推進部
サーマルカメラ(赤外線カメラ)は感染初期の松枯れ調査に有効か。
この事業でのミッションは、感染初期の松枯れの状況を把握するためにサーマルカメラ(赤外線カメラ)を搭載したドローンによる調査方法が有効であるかを確かめることでした。調査をするうえではいくつかの課題があげられていました。
①サーマルカメラはマルチスペクトルカメラと比較して、マツの感染初期木の検出に適しているか。
②サーマルカメラにより樹冠表面温度を測定する場合に日射量等外的要因が影響するが、外的要因を考慮した「感染初期木の温度」はどの程度か。
③感染初期木を発見した後の適切な対処方法は何か。
調査対象となった磐田市福田海岸林
松の温度を計測し、必要なデータを取得していく。
海岸林のマツの成木を、サーマルカメラで樹冠表面温度を実際に撮影し、マルチスペクトルカメラで植生指数(NDVI)の変化を計測し、感染初期木の発見までの期間を比較した。また、松脂樹脂量の計測も行いました。
試験圃場のマツの幼木については、樹冠表面温度と水分保持量と松脂樹脂量の変化を測定しました。
サーマルカメラを搭載したUAV
感染初期木を効率良く発見するため、外的要因を考慮した「感染初期木の温度」の推定式を検討しました。
また、マツ枯れを起こすマツ剤線中病に対する予防効果と防除が有効となる薬剤を投与し経過観測を行いました。
松脂樹脂量の計測
薬剤投与の様子
サーマルカメラ活用の有効性が確認された。
マツの成木調査と幼木調査から、サーマルカメラの活用が感染初期木の検出で最も早く確認することができました。
マツの樹冠表面温度と外的要因となる気温、湿度、日射量の値を用いて重回帰分析を行い、マツの樹冠表面温度の推定式を求めました。また、樹冠表面温度の目安(しきい値)とすることで効率良く感染初期木を検出することが可能と考えられます。
この調査では薬剤投与の効果は無かったものと判断されました。この段階では感染初期木を発見したら早期に伐倒駆除することが適切な処置であると考えることができます。
調査後の磐田市福田海岸林